皆さんは、毎日利用するかもしれない電車が、どうやって動いているか考えたことはありますか。
特に、電車の屋根についているあの装置、気になりますよね。
この記事では、電車が走るための「電気」をどうやって取り込んでいるのか、そして「パンタグラフ」という装置のすごい「仕組み」を、分かりやすくお伝えします。
この記事を読めば、電車と「電気」の深い関係や、「パンタグラフ」の大切な役割がきっと分かりますよ。
「機関車」とのパワーの伝え方の「違い」にも触れながら、電車の心臓部ともいえる集電システムの世界を一緒に見ていきましょう。
電車と電気の深いつながり

私たちの生活に欠かせない電車。
その多くは、ガソリンなどではなく「電気」で走っていますね。
では、なぜ電車は電気で動くのでしょうか。
電気が選ばれる理由
理由の一つは、環境にやさしいことです。
走っているときに二酸化炭素などを直接出さないので、街の空気をきれいに保つのに役立つと考えられています。
エネルギーの効率も良い傾向があり、省エネにもつながると言われています。
しかし、電車は自動車のように燃料を積んでいるわけではありません。
常に外から「電気」をもらい続ける必要があるのです。
この「電気」を走りながら安定的にもらうためのシステムが、電車の運行にはとても大切で、その「仕組み」はすごい技術で支えられています。
電車はどこから電気をもらうの?集電の基本

電車が電気を取り込む方法は、主に二つあります。
一つは、電車の上の電線、つまり「架線」から電気をもらう「架空電車線方式」です。
もう一つは、線路の横や間にある特別なレールから電気をもらう「第三軌条方式」です。
日本で多いのは架空電車線方式
日本の多くの電車は、架空電車線方式を使っています。
皆さんがよく見る電車の屋根の上には、この架線から電気を取り込むための装置がついています。
それが、今回の主役「パンタグラフ」なんです。
第三軌条方式は、地下鉄などで見かけることがあります。
設備がシンプルになる一方で、感電の危険性や雪に弱いという面も指摘されています。
この記事では、より一般的な架空電車線方式と、その中心となる「パンタグラフ」について詳しく見ていきましょう。
空中の電線「架線」って何?その役割と作り

「架線」とは、電車の線路の上に張られた電線のことです。
この架線には、変電所から高い電圧の「電気」が送られています。
電車はこの架線に触れることで、走るための電気をもらっています。
架線の賢い構造
架線は、ただの電線一本ではありません。
安定して電気を送るために、いろいろな工夫がされた複雑な作りをしています。
主に「トロリ線」と「吊架線」という二種類の電線でできています。
トロリ線は、パンタグラフが直接触れる電線です。
すり減りにくい丈夫な材料が使われています。
吊架線は、トロリ線を一定の高さで水平に保つための電線です。
この吊架線から短い金具でトロリ線を吊り下げる形を「カテナリー式架線」と呼びます。
カテナリー式にすることで、トロリ線がたるみにくくなり、パンタグラフが速く走っても安定して電気をもらえるように工夫されています。
新幹線のようにとても速く走る電車では、もっと精密な高さの管理と安定性が求められます。 そのため、「コンパウンドカテナリー式」という、さらに高性能な架線方式が使われることもあります。
これらの架線は、電柱や鉄塔で支えられ、電車が走る全区間に電気を送り続ける、まさに電力の道なのです。
この架線の「仕組み」が、電車への安定した電力供給の第一歩となります。
電車のアンテナ?「パンタグラフ」のすごい役割と仕組み

さて、いよいよ「パンタグラフ」の登場です。
電車の屋根の上で、ひし形や一本の腕のように見えるこの装置。
架線から「電気」を上手にかつ安全にもらうために、とても大切な役割をしています。
「パンタグラフ」という名前は、製図などに使う伸び縮みする道具に形が似ているから、と言われています。
パンタグラフの一番大切な仕事
「パンタグラフ」の一番大切な仕事は、電車が揺れたり、架線の高さが少し変わったりしても、常に架線のトロリ線にちょうど良い力で触れ続けることです。
この接触が途切れたり(離線)、逆に力が強すぎたりすると大変です。
火花が出てパンタグラフやトロリ線を傷つけたり、最悪の場合は電気が不安定になって走れなくなったりする可能性があります。
では、具体的に「パンタグラフ 仕組み」はどうなっているのでしょうか。
パンタグラフは、主にこんな部品でできています。
架線に触れる「すり板」
まず、架線に直接触れる部分を「舟体」または「すり板」と呼びます。
このすり板には、滑りやすく、架線をあまり傷つけないように、カーボン系の材料などが使われています。
すり板は使っているうちに減っていくので、定期的なチェックや交換が必要です。
上下に動くアーム部分
この舟体を支えて、上下に動かすのがアーム部分です。
パンタグラフが上に上がる力は、主に強いばねの力や、空気の圧力で作られます。
この力で、パンタグラフは架線に一定の力で押し付けられるのです。
走っている間、架線の高さはぴったり一定ではありません。
電車自体も上下に揺れます。
パンタグラフのアーム部分は、これらの動きに合わせてしなやかに動き、すり板と架線の接触を保ち続ける必要があります。
この動きのスムーズさが、パンタグラフの性能を決める大切なポイントです。
パンタグラフの形の種類
パンタグラフの形にも種類があります。
昔からあるのは「菱形パンタグラフ」で、その名の通り菱形に組まれたアームが特徴です。
作りが比較的シンプルで丈夫だと言われています。
一方、最近よく見かけるのが「シングルアームパンタグラフ」です。
「く」の字型のアームが一本でできていて、菱形に比べて軽くて部品も少なく、空気抵抗も少ないとされるため、特に速い電車で多く使われています。
これらのパンタグラフは、運転席からの操作で上げたり下げたりできます。
駅で停まっているときや車庫にいるときなど、電気をもらう必要がない場合はパンタグラフを下げておきます。
そして、出発前に上げて架線に接触させるのです。
電気が車両の中へ、そして動力へ
パンタグラフが架線から「電気」をもらうと、その電気はケーブルを通って車両の中の機械へ送られます。
交流の電気が流れている区間を走る電車なら、まず変圧器で電圧を使いやすいように下げます。 その後、整流器で交流を直流に変えます(直流モーターを使う場合)。 直流の電気が流れている区間なら、この流れは少し異なります。
最終的には主制御器という装置を通ってモーターに電気が送られ、その力で車輪が回り、電車は進むのです。
この一連の流れで、パンタグラフは架線という外の電気と、車両の中の電気システムをつなぐ、まさに玄関のような役割をしています。
パンタグラフが安定して電気を集められなければ、電車はちゃんと走ることができません。
電車と機関車の違いは?動力と集電の視点から

ここで、「機関車 違い」というキーワードについても少しお話ししましょう。
電車と電気機関車は、どちらも「電気」で動き、多くの場合パンタグラフを使って架線から電気をもらう点は同じです。
しかし、力の伝え方や車両の構成には大きな違いがあります。
電車の特徴「動力分散方式」
一般的に「電車」と呼ばれるものは、いくつかの車両にモーターが分かれて付いている「動力分散方式」です。
それぞれの車両が自分で走る力を持っているので、スピードの調整がしやすく、列車の長さを変えやすいという特徴があります。
機関車の特徴「動力集中方式」
一方、「機関車」は、動力装置を機関車という一つの車両に集めた「動力集中方式」です。
機関車がお客さんを乗せる車両や荷物を積む車両を引っ張ったり押したりして走ります。
電気機関車も、強いモーターを積んでいて、パンタグラフで集めた電気を使って大きな力を出します。
電気をもらう「仕組み」自体は、電車も電気機関車もパンタグラフを使うという点では共通しています。
ですが、車両全体の作りや使い方が違うのですね。
蒸気機関車やディーゼル機関車は、石炭を燃やしたりエンジンで発電したりと、車両の中で動力を作る点が、外から電気をもらう電車や電気機関車との大きな違いです。
集電技術の進化と未来 もっと速く、もっと安定して

鉄道の技術が進むにつれて、電気を集める技術も進化し続けています。
特に新幹線のような速い電車では、時速300kmを超えるようなスピードでも安定してたくさんの電気を集める必要があります。
そのため、パンタグラフや架線の技術には、とても高度なものが求められます。
高速走行時の課題「離線」
速く走っていると、パンタグラフが架線から離れてしまう「離線」という現象が問題になります。
離線が起きると、火花が出てパンタグラフのすり板や架線を傷つけます。
それだけではなく、電気が不安定になって乗り心地が悪くなったり、機械が故障したりすることもあります。
これを防ぐために、パンタグラフを軽くしたり、空気抵抗を減らす形にしたり、架線への追従性を良くしたり、架線自体の揺れを抑える技術などが常に研究されています。
例えば、パンタグラフのすり板をいくつか重ねて架線にフィットしやすくする工夫や、音を小さくするための形の工夫などがあります。
天候との戦い
雪や氷も集電にとっては大きな敵です。
パンタグラフや架線に雪や氷がつくと、うまく電気が集められなくなることがあります。
これに対応するために、パンタグラフにヒーターを付けたり、架線についた雪や氷を落とす装置が開発されたりしています。
これらの技術開発は、より安全で快適、そして環境にやさしい電車を実現するために欠かせません。
未来の電車は、さらに進化した集電システムで、私たちの想像を超える走りを見せてくれるかもしれませんね。
「電車を支えるパンタグラフと架線の巧みな仕組み」
この記事では、「電車の電気はどこから?パンタグラフの仕組みと役割を解説」というテーマで、電車の集電システム、特に「パンタグラフ」と「架線」の「仕組み」や大切さについてお話ししてきました。
電車がスムーズに、そして力強く走れるのは、架線からパンタグラフを通して絶え間なく「電気」が送られ、それが効率よく力に変わっているからです。
一見シンプルに見えるパンタグラフも、実は速いスピードや天候の変化に対応するための様々な工夫が詰まった精密な装置なのです。
安定した電力供給を支える電車の心臓部の一つと言ってもいいでしょう。
「機関車」との力の伝え方の「違い」についても触れ、電気で動く鉄道車両の面白さの一端を感じていただけたのではないでしょうか。
普段何気なく見ている電車の屋根の上には、私たちの快適な移動を支えるためのすごい技術が詰まっています。
次に電車に乗るときは、ぜひパンタグラフや架線にも注目してみてください。
そこには、技術者さんたちの知恵と努力がたくさん隠されているのです。
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